昨日・一昨日と、大学入試センター試験が実施された。松戸駅を出たら雪が積もっていてビックリ! 事務方から得た情報によると、朝の7~8時ごろにしんしんと降って、一気に積もったとのこと。都内からマイカー通勤の先生いわく、「江戸川を越えた途端にいきなり雪景色だっだ」。
降りしきる様子を目にしなかった私だが、今朝、テレビで日本ハムの斎藤佑樹投手のニュースを見て納得した。松戸から比較的近い、千葉の鎌ヶ谷で行われた彼の歓迎式典に夜中から詰め掛けたファンの様子を、午前7時ごろに取材したVTRが流されたのだ。確かにすごい降りで、行列したファンの傘にはすでに雪が積もっている。
さて、「雪」で真っ先に思い浮かぶ音楽は、ドビュッシーの《子供の領分 Children's corner》の第4曲〈雪は踊っている The snow is dancing〉(←クリックするとYouTube. ミケランジェリのピアノ)である。雪の舞い落ちる日にこれを聴くと情緒たっぷり。
オペラで雪のシーンといえば、何と言ってもプッチーニのオペラ《ラ・ボエーム》第3幕である。ロドルフォが「ミミとは別れようと思う」とマルチェッロに打ち明けるのを聞いてしまったミミ。そして、別れを切り出す…。さまざまな演出、舞台装置があるなかで、現在、世界でもっとも広く、そして長く愛されているのは、フランコ・ゼッフィレッリ演出によるものであろう。降りしきる雪は、ミミとロドルフォの別れのシーンを際立たせる最高の演出となる。
ゼッフィレッリ演出の《ラ・ボエーム》は、ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(MET)の世界三大歌劇場で今も上演されている。今年6月のMET来日公演でも、“この” 《ラ・ボエーム》公演があり、当代きってのソプラノ、アンナ・ネトレプコがミミを演じることになっている。
<参考>MET来日公演情報 《ラ・ボエーム》
ゼッフィレッリ演出の第3幕は、薄く紗のかかった舞台で、実に美しい。第2幕のカフェ・モミュスが非常に華やかで、本物の馬が出てきたり、賑やかなクリスマスイヴを一緒に体感できるのと好対照である。
私は、METのものは生で見たことがない。でも、ミラノ・スカラ座とウィーン国立歌劇場のものはこの眼で鑑賞して大変感激したことがある。
スカラ座の《ラ・ボエーム》は1981年の来日公演で、カルロス・クライバーの指揮、ミレッラ・フレーニのミミ、ぺテル・ボヴォルスキーのロドルフォという、今となっては夢のような舞台であった。東京文化会館のステージが狭く、第2幕がとにかく窮屈そうだったこと、第3幕の幕が開いたときに、ため息の出る美しさだったことを鮮明に覚えている。当時、すでにフレーニはミミを歌える声でなくなっているという前評判だったが、体型が肺病の女性というにはちょっと…という、アピアランスさえ目をつぶれば、やはり当時もミミ歌いとして右に出る者はいなかった。
ウィーン国立歌劇場の《ラ・ボエーム》は、ドイツ留学中の1992年10月3日に現地で観たもの。ミヒャエル・シェーンヴァント指揮、ルチア・マッツァリアのミミ、ジュゼッペ・サバティーニのロドルフォ。私には珍しく(!?)パルケット(平土間)で観たので、第3幕の紗幕がよくわかった。 ただし、第2幕が開いたときは、周りのアメリカ人観光客がフラッシュをパチパチたいて写真を撮っていたので、気分がそがれたが…。サバティーニが泣かせる演技で絶好調だったので、終演後も気分良くケルントナー通りを歩いていたら、演じ終わったばかりの彼が真正面から歩いてきた!
手元にある当日のプログラムを見たら、この日の時点で、当該演出による公演は223回目であったとある。聖徳大学音楽学部では、3年生が海外研修としてパリとウィーンに赴き、ウィーンでは国立歌劇場のオペラをパルケットで鑑賞するが、確か5年前の海外研修のときは、同じ《ラ・ボエーム》を観たはずである。回数はどのくらいになっているだろうか。ちなみに、昨年だったか、FMでMETの公演を放送していたが、そのとき「300数十回目の公演」(実際には正確な数字)と解説していた。
今年のMETの来日公演は、S席が64,000円もするから、とても行けそうにない。いつかニューヨークで観てみたいが、YouTubeに動画があったので、とりあえず…。
第3幕の冒頭部分 (1分45秒のところから)
MET 1982. Teresa Stratas. Jose Carreras. Richard Stillwell. James Levine.
[終わり]